放射線治療後の乳房再建

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放射線治療後に乳房再建は難しい?

患者さま

3年前に乳がんになり、部分切除後に放射線治療をしました。

いろいろ調べてみたのですが、再建はなかなか難しいと言われているようですが・・・放射線治療後でも再建できますか

素輪先生

素輪先生の回答・・・
放射線治療後の乳房再建ではいくつかの方法を提案できますよ。

ただ通院回数が増えてしまうという欠点はありますが、相談しながら一緒に考えていきましょう。

素輪先生

放射線治療後の皮膚や筋肉は通常よりも固くなってしまっている事が多いです。そのため通常より柔軟性がありません。

でも再建のために使うエキスパンダーを膨らませる生理食塩水の注入量を普段より少量ずつにすることで、時間をかけて胸のふくらみを拡張していくことができると思います。

患者さま

時間をかけて少しづつ胸を膨らませていくのですね。
放射線治療によって皮膚や胸筋が固くなると聞いているので・・・エキスパンダーで皮膚を伸ばす時は痛いですか?

素輪先生

そうですね、放射線治療によって皮膚が固くなってしまって、エキスパンダーへの注入後に痛みが激しいとおっしゃる患者様もいます。
そういった理由で、どうしてもエキスパンダーを十分に膨らませることが出来ないケースもあります。

そのような場合は3つの選択肢があるかと思います。

患者さま

自分にも起こるかもしれないと思うと心配になります。
それはどのような方法でしょうか?

素輪先生

1つは膨らんだ分のボリュームをシリコンインプラントを使用して安定させます。そして足りないボリュームを自家組織皮弁や脂肪移植術で補い、整えていく方法です。
つまりインプラントと自家組織を使う方法ですね。

患者さま

無理やり伸ばさない、痛みに耐えられない時にいいかもしれませんね。ハイブリッドってことかしら?

素輪先生

2つ目は、膨らまなかった皮膚の部分を自家組織皮弁(皮膚と血管がついた組織)を採取して置き換える方法です。

放射線の影響を受けていない患者さまご自身の柔軟な組織や皮膚を使うことで、エキスパンダーが膨らみやすくなります。

患者さま

胸の部分の組織を入れ替えてしまうという事ですね。

ちゃんとエキスパンダーが膨らんでくれそうですし、柔らかな胸が期待できますね。

素輪先生

3つ目はエキスパンダーをいったん抜いて様子を見る方法です。
炎症やその他の影響で痛みが強く出ている方にはこちらをお勧めします。

患者さま

えぇっ?エキスパンダーを抜いてしまうのですか?その後、私の胸はどうなってしまうのでしょうか?

素輪先生

大丈夫です、安心してくださいね。
この方法は皮膚を再建に最適な状態にする方法です。

素輪先生

①皮膚の炎症が収まるまで2-3か月経過をみる。
②その間、たっぷり保湿をして皮膚の伸展性が少しでも得られるまで待機しながら様子を見ましょう。
③脂肪移植を行って皮膚の質を改善させていく。
時間をかけて皮膚の状態を少しづつ良くしていきます。

素輪先生

その後、もう一度エキスパンダーを試みることもできますし、インプラントや自家組織を移植することもできるかと思います。

患者さま

少し時間はかかりそうですが、皮弁が移植できない事情がある人にも希望が持てる再建法があるのですね。

素輪先生

患者さん自身がどのような状況にあるかを知ることは、とても大切なのです。
身体の状態を理解していただいた上で、ご自分の気持ちに沿った最適な方法を一緒に考えて解決していく事ができればと思います。

患者さま

ありがとうございます。自分に合った方法が見つけていきたいと思います。

素輪先生

自分らしい再建を目指していきましょう。
いつでもお問い合わせくださいね。

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