インプラント/現在の問題点について

シリコン・インプラントから発生する現在の問題点について

BIA-ALCL について

シリコン・インプラントから発生するその他の悪性腫瘍について
BIA-ALCLは、乳房再建術または乳房増大(豊胸)術で乳房インプラント(ゲル充填人工乳房)を挿入された方に発症する可能性がある発症頻度の低いT細胞性非ホジキンリンパ腫の型の一つです。乳腺組織から発生する癌(乳腺悪性腫瘍)とは異なるもので、インプラント周囲に形成される 被膜組織から発生する増殖性の腫瘍です。

多くの場合、手術後に一定期間経過 したにもかかわらずインプラント周囲に増生する貯留液や被膜の腫瘤形成などにより乳房が腫大する兆候がみられます。他のALCLと異なり緩徐に進行し、手術後の適切な定期健診において確認された場合においては、外科的治療などにより十分治癒が見込めます。しかし、治療開始が遅延したことで化学療法や放射線治療が必要となる場合や、非常に稀ではありますが死亡に至った症例も報告されています。

BIA-ALCLの発症率はとても低く、進行も遅いのが特徴で適切な処置をすれば治癒します。
BIA-ALCL は、テクスチャードタイプのインプラントで発生しやすいようです。現在、日本の保険診療内で使用することができる乳房インプランに含まれます(ただし現在は販売中止となっており使用できません。)今日までに、スムースタイプのインプラントでは BIA-ALCLの発生は報告されていません。 

インプラントによる乳房再建を受けている方は、自覚症状の有無に関係なく、年に1回の定期検診と、2年に1回の画像診断(MRIや超音波検査など)を欠かさず受ければ、不安なく日常生活を送っていただけます。

どのタイプのインプラントを使用するか、メリットとデメリットを医師からしっかりと説明を受け相談しながら決めていきましょう。

被膜拘縮について

乳房インプラントが設置されると、その周囲に繊維状の瘢痕組織が形成され、組織カプセルを形成します。体は、異物と認識した物の周りにこのような保護カプセルを形成します。組織カプセルは通常、柔らかいか少し硬い程度で目立ちませんし、インプラントを所定の位置に保つのに役立ちます。

一部の女性では、異常に硬く密な組織カプセルが形成されることがあります。このカプセルがインプラントの周りを締め付け、圧迫してしまいます。カプセル拘縮と呼ばれるこの状態は、慢性的な痛みや乳房の形の歪みを引き起こし、乳房が胸の上で高く盛り上がることがあります。 

被膜拘縮のリスクがあるのはどのような人ですか?

過去に放射線治療を受けたことがある場合、特に最初の乳房再建手術の後に受けた場合は、被膜拘縮を起こすリスクが非常に高くなる可能性があります。
しかし、全体として、被膜拘縮を起こす人と起こさない人がいる理由はよく分かっていません。

カプセル拘縮のリスクを高める他の要因としては、インプラントの破裂、血腫(手術中に組織を切除した場所に血液が溜まること)、インプラント上の微生物バイオフィルム(不顕性感染)の発生、瘢痕を形成する遺伝的素因などがあります。不安なときは、医師に相談してしっかりと説明を受けていきましょう。