はじめまして
自治医科大学 形成外科学 乳房再建専門診療担当 素輪善弘と申します。
乳癌で失われた乳房を乳癌前と分からないくらい綺麗に復元したい、そんな思いで乳房再建手術を15年以上行ってきました。その間、様々な悩みを抱えながら自分の中でしっくりくる答えを見つけながら、技術改良を重ねてきました。
これまで京都の大学病院(京大、京都府立医科大)を中心に多くの乳房再建あるいは乳房整容向上手術を取り組んできました。これからは北関東に舞台を移し、全国の乳房再建の水準を少しでも高めていくことに残りの医師人生を捧げたいと考えております。
乳房を美しくなおすには、乳房解剖学や皮弁やの知識、そして乳房インプラントや皮弁、吸引脂肪組織を扱うための卓越した手術センスと技術が必要です。
まだまだ解明されていない疑問や到達できていない領域はありますが、患者様と共に前向きな気持ちで最適な方法を考えていきたいと思います。
そう、乳房再建は乳房を再び取り戻す、あるいは新しく美しい乳房を創造していくポジティブな取り組みなのですから!
患者さまとの協働的な
クリエイティブ活動としての乳房再建
ここで、クリエイティブな活動とは患者という身体をキャンパスにし形態を創造していく 医療活動と誤解されやすい面があります。しかし私が考える医療はそうではありません。
クリエイティブな医療とは患者さんと医療者が協働して紡いでいく共同作業でありたい、 またそうあるべきだと思っています。
よって、患者さんにはこれに積極的に参加いただき、乳房を復元、あるいは乳癌手術の前よりも魅了的あるいは美しい形態を追求していく 姿勢を基本とし、あわよくばお互いワクワクしながらクリエイティブ医療を実践していき たいと思っています。
現在、乳房再は多様化し、選択肢が増加しています。例えば治療法 を選択していく際の意思決定もクリエイティブな活動の一環であります。術後のイメージ を共有しながら、治療デザインを、価値観を共有し合いながら一緒に行っていければ理想 といえるのではないでしょうか。
クリエイティブな思考が必要とされる乳房再建術
人間はそもそもクリエイティブな生物でありクリエイティブな活動にヒトたる故の真の 生き甲斐、喜び、幸せがあると考えます。形成外科は「クリエイティブ思考」で外科的治療を実践することを特徴とする極めて魅力的な診療分野のひとつです。
人工知能に象徴さ れる仕事の自動・機械化が加速する中、代理が効かないこの診療分野は形態特徴をとら え、これを超越した技術やアイデアをもって再現すること望まれる乳房再建が象徴的です。
乳房再建を当たり前の医療にしたい
私は現状の診断・治療手段に満足することなくクリエイティブな発想を持ち続け、人々を 魅了する医術を発見繰り返し続けることを信念にしています。このようなマインドを口頭 に留まらず、身体で表現・発信していき、共感を得ることで今後ますます乳房再建が当た り前の医療として認知されていくよう努力していきたいと思います。
素輪 善弘
Yoshihiro Sowa
医師・博士
<経歴>
2003年 京都府立医科大学付属病院/外科(卒後研修)
2005年 京都府立医科大学付属病院/形成外科
2006年 京都第二赤十字病院勤務 形成外科
2007年 兵庫県立がんセンター勤務 形成·再建外科
2008年 京都府立医科大学 形成外科 助教
2014年 京都府立医科大学 形成外科 講師 診療科長
2018年 Chang Gung Memorial Hospital(Taipei)
2019年 St Vincent Hospital, Royal Melbourune Hospital (Melbourune)
2022年 京都大学 大学院医学系研究科 形成外科 客員研究員
京都府立医科大学 免疫学教室 特任准教授 併任
現職:
自治医科大学 形成外科学 准教授
自治医科大学 形成外科 診療科長
自治医科大学 美容外科 診療科長
京都府立医科大学 免疫学 特任准教授 併任
<キャリア>
約21 年(令和6年現在)
<資格など>
- 日本形成外科学会認定医·評議員
- 日本乳房オンコプラステックサージャリー学会·評議員
- 日本乳癌学会 認定医
- 日本形成外科学会 ガイドライン策定·乳房再建ガイドライン班長
- 乳房文化研究会 理事
<他に専門とする分野>
- リンパ浮腫治療
- 再生医療
<手術実績(2022年)>
- 乳房再建手術(自家組織再建:26件、人工物再建:35件) 61件
- 脂肪移植術 46件
- 乳頭·乳輪再建術43件
- 乳房縮小·固定術5件
- 瘢痕修正やその他タッチアップ手術 13件
<研究>
- 人工知能を用いた乳房再建術後整容性評価
- Shared Decision Making(SDM)における乳房再建意思決定ガイド(DA)の効果: 乳房再建患者の術式選択における意思決定の葛藤と不安、術後 QOL 調査
- 吸引脂肪組織を用いた再生医療
- 知覚遊離皮弁再建による乳房再建
<最近の活動>
- 乳房再建における広背筋皮弁採取後肩関節機能の前向き研究 (Sowa Y. Breast Cancer. 2017;24:362-368. )
- 広背筋を最大限温存させる新しい乳房再建術式について(Sowa Y, J Plast Surg Hand Surg. 2016;50:349-53)
- 乳房再建にける皮弁の漿液腫リスク因子解明とその軽減法を報告した(Sowa Y, Ann Surg Treat Res. 2017 ;93:119-124. Sowa Y, Aesthetic Plast Surg. 2017;41:1045-1048. )
- 超音波エラストグラフィーを導入し被膜拘縮や脂肪壊死などの客観的診断基準を世界で初めて提唱した(Sowa Y. Clin Hemorheol Microcirc. 2017;66:1-6, Sowa Y. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2016;4:e677. Sowa Y.Plast Reconstr Surg Glob Open. 2015;3:e518. )
- BREAST-Qを用いた大規模調査実施し乳房再建の患者幸福への寄与の調査(Shiraishi M, Sowa Y. Front Oncol. 2022;12:815498)
- MRIや3Dスキャナーを用いた乳房形態アウトカム評価を開発した(Itsukage S, Sowa Y et al. Eplasty 2017;17: e3)
- 乳房関連リンパ腫の大規模全国調査で実態を明らかにし啓蒙した(素輪善弘, 他. 日本形成外科学会誌. 2019;39: 432-40)
- 腹部遊離皮弁の静脈灌流システムを詳細に解析した(Sowa Y,et al. J Plast Surg Hand Surg. 2021;55:361-7 PMID: 33769189.)
- 腹部皮弁のうっ血予防の新たな対策を報告(素輪善弘,ほか. 日マイクロ会誌. 2020:33:145-51)
- 乳頭形成術や陥没乳頭術後の新しい術式や保護法の考案(4: Sowa Y. J Plast Surg Hand Surg. 2018;52:126-129. )
- 乳房のMRIによる正確なVolume計測法の開発(2: Itsukage S, Sowa Y,. Eplasty. 2017 ;17:e39. )
- 乳房再建のロボット手術の応用(Sowa Y, Plast Reconstr Surg Glob Open. 2018;6:e20356)
- 乳房再建における術後疼痛を調査し、神経ブロックを用いた疼痛コントロールを考案した(Shiraishi M, Sowa Y, et al Ann Plast Surg. 2022;88:490-5.Shiraishi M,Sowa Y, et al.Surg Today. 2023. Epub ahead of print.)
- 3D Enhancing 乳頭·乳輪Tattooingの開発(Sowa Y, Aesthetic Plast Surg. 2021;45:2631-36. PMID:3435050)
- 乳房再建法の意思決定にShared Decision Makingを実装についての研究(Sowa Y. Breast Cancer. 2023. Epub ahead of print. )
- 脂肪注入術による乳房再建の整容性、満足度向上効果について( : Sowa Y, Ann Plast Surg. 2023;90:123-127. )
<勤務施設>
- 自治医科大学医学部附属病院(乳房再建外来:毎週火・水曜日 午前)
病院ホームページはコチラ - 京都民医連中央病院 (第1/3木曜日 午後)
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